亡き父にビールを注いで吾が飲む
お恥ずかしい話だが、いまやビールを飲むのは贅沢と言わねばならない暮らしぶりとなってしまい、日頃は自動販売機で買うジュースより安い缶チューハイを飲んでいる。
とはいえ、ときには缶チューハイでも発泡酒でもなく本物のビールを飲みたいので、亡き父の誕生日だとか、命日だとか、お盆とかに、父にかこつけてビールを飲む。
グラスを二つ用意して「父さん、今夜は一緒に飲もう」などと言いながら、二つのグラスにビールを注ぐ。しかし、父の分のビールが減るはずもなく、結局は私が飲んでしまう。めったに飲めないビールだからもちろん旨いが、やはり一人で飲むビールが二人で飲むビールの味を超えることはない。
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