オブジェ

母のため付けし手摺りはいたづらに壁や廊下のオブジェとなりぬ

 

二階建てのわが家には一階と二階それぞれにトイレがあり、一階のトイレには三カ所に手摺りを付けてある。ホームセンターで材料を買って私が付けたものである。母が脊椎間狭窄症になったときにまず一つ手摺りをつけ、その後母の足腰の衰えに伴って一つ、もう一つと手摺りが増えた。

最近便器に腰掛けてそれらの手摺りを見て、もうこれらは不要となってしまっていることに気づいた。もっともこの先私の足腰が衰えれば、また世話になることがあるかも知れないが・・・・・・。

介護ベッドや車椅子は、なくなって母の不在を感じさせた。逆に、トイレや廊下や玄関の壁に突き出した、うっすらと埃をかぶった手摺りは、いまもあることで母の不在を感じさせる。

 

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