秋風に胸を満たして三回忌
父が亡くなったとき、「時が薬となって癒やしてくれる」と叔母から言われた。確かにそのことばどおり、時間とともに痛みは薄れていった。母が亡くなってからも同じで、三ヶ月、半年、一年と経つうちに胸を刺すような哀しみは薄れてきたように思う。
ただ正直なところ、癒やされたという感覚はまだない。胸の一点にあった刺すような痛みは薄れたが、その範囲はむしろ広がっているようにも感じられる。
なにかで胸を満たさないと、こころがそこはかとない哀しみに占拠されそうだが、かといっておおよそポジティブな感情はいまの私には湧いてきそうもない。せいぜい秋風ででも胸を満たしておく以外になさそうだ。
<広告>