水洟

吾の手で水洟拭ふ老母、こら!

 

鼻水が拭ければ何でもいい。母が自分の考えをことばに出来たら、そうとでも言っただろうか。母の不思議な言動は数々あるが、姉や私には分からないだけで、母には母の文脈があるはずだ。それが分かったらと思う反面、「知らぬが仏」ということもあるかも知れない、とも思う。あるいは鼻水が出た瞬間、握っていた私の手のことはわすれてしまって、自分の手を鼻に持っていったつもりだったのかも知れない。

ちなみにわが家のテディベアは、母に「かわいい。かわいい」と撫でられることもあれば、ぽいと投げられることも、ティッシュ代わりに鼻水を拭かれることも、挙げ句はパンのように囓られることもある。

 

※note「喜怒哀”楽”の俳介護+」では、短歌・詩・その他俳句を公開中

わが家も減塩!

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風花

風花や母の下着を干す父に

 

母が病んだからというわけではない。共働きのわが家では、若い頃から父は炊事も洗濯もした。父と母と私の三人の暮らしになってからも、炊事と洗濯は主に父の仕事で、父が母の下着を干していることに特別の感慨をもったことはなかった。

だが、この日の父の姿には、ことばに尽くせぬ母への深い思いを感じた。母の認知症が進むにつれて、教員だった父は退職教員の会合などにもほとんど参加しなくなった。母のことは姉と私が看るからと言っても、なにやかやと理由をつけて、母の傍を離れようとしなかった。

とは言えこの日の感慨は、あるいは父に降りかかる風花がもたらしたものかも知れない。

 

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