葛の花親見送りしだけが孝
私はいま61歳になったが、61年の人生を振り返って、親孝行といえるようなことは何一つ出来なかった。誇れるような仕事も成し遂げられなかったし、結婚して家庭を築くことも、孫を父や母に見せてやることも出来なかった。
唯一親孝行といえることは、親より先に死なずに、曲がりなりにも父の死も母の死も見届けたということぐらいだろうか。仮に私が先に亡くなっていたら、父や母はどれほど切なかっただろうと想うと、そういう思いをさせなかったことだけは幸いだった。
もっともそれが孝行かどうかは私が云々することではない。あの世で父と母は何というだろうか?
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