雑炊

母食はぬ雑炊汁を失へる

 

母はだんだんとご飯が食べられなくなってきた。咀嚼はするが飲み込むのが難しいらしい。ずいぶん長く噛んだあと、飲み込めなかった分を舌の上に載せて吐き出してくる。

パンは比較的よく食べるので、ご飯が食べられないときはパンを食べてもらうが、日本人の性なのか、ご飯を食べないと元気が出ないような気がしてしまう。

そこでとろろ掛けご飯にしたり、雑炊にしたりして、なんとか母が食べやすいようにと工夫してみるのだが、結局はその日の調子次第で食べない日は食べない。

用意したものを食べてくれないのにはもう慣れたとは言え、すっかり汁気を失った雑炊を見ると、ちょっとさびしい気持ちがした。

 

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