筍の季ごとに母を見舞ふ叔母
母は四人姉妹の次女だ。一つ上の姉も、二つか三つ下の妹ももういないので、残っているのは十三歳下の妹だけである。父には兄が一人、姉が八人いたが、末っ子の父が最後に亡くなって、姉と私にとって「おじ・おば」と呼べる人は、この叔母夫婦だけになった。
母が認知症になってから、ずっと叔母夫婦はわが家のことを気に掛けてくれて、年に二、三度訪ねてきてくれる。そのたび畑で穫れた野菜や、お手製の総菜をたくさん携えて……。
中でも私が楽しみにしているのは、叔母の作った筍の煮物で、この頃歯ごたえのある物が食べられなくなってきた母も、叔母の作った筍の煮物は普段よりよく食べる。
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