寒し

鍵開くる音響きけり寒き家

 

母が亡くなって一年余り。いまだに一人暮らしに慣れない。中学校入学と同時に下宿して親元を離れた私だが、四十歳の頃両親とまた同居することになって以来、家に帰ればいつも父と母がいたし、父が亡くなってからは、私が仕事から帰るまで姉かヘルパーさんが母の面倒をみてくれていたから、帰ってきて自分で家の鍵を開けるということもなければ、帰ってきて部屋を冷やしたり暖めたりすることもなかった。いつ帰っても、鍵は開いていて、夏は冷房、冬は暖房が入っていた。

母が死んで、姉もヘルパーさんも家には来なくなったから、当然ながら自分で鍵を閉めて家を出て、自分で鍵を開けて家に入る。鍵を開けるカチャリという音が響くと、「ああ、独りなんだなあ・・・」と実感する。

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