寝息なくも布団かすかに上下せり
父が亡くなってから、母が亡くなるまでずっと母の隣で眠った。夜中に腕や足が痛いと言って何度も起こされたり、ずっと話しかけられたりして眠らせてもらえないのはつらかったが、逆に寝息も聞こえぬほど深く眠っていると、もしや息が止まったのではないかと心配になることもあった。
訪問看護師さんから呼吸をしているときは胸がわずかに上下すると聞いて、隣に眠っている母をじっと見ると、布団がかすかに上下している。「ああ、生きている・・・」とほっとして眠るということが何度かあった。
一方、母の死から通夜の日まで二晩母の亡骸の隣で眠ったが、ふっと「ぐー」と鼾のような音がした気がして母の亡骸をまじまじと見たが、当り前だが胸は上下しておらず、「やっぱり死んでいる」とがっかりした。
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