臍曲げて厨に寝たるきうりかな
もちろん臍を曲げているのはきゅうりではない。だが、母の機嫌を損ねてしまい、食事の用意をしても「食べん!」と撥ねつけられてしまった時などは、思わずキッチンのきゅうりに「きゅうりよ、お前もか!」とでも言いたくなる。まったく……。ふて寝をしたいのはこっちだ。
もっとも介護生活の中で、こちらの経験値もあがってくるから、こういう場合の対応の仕方も引出しが増えてきた。少し間を置いて、何事もなかったかのように話しかける。母の好きな甘い物で釣る。母を放っておいて、さっさと自分だけ先に食べてしまう。
ちなみに裏庭の家庭菜園で作るきゅうりは養分が少ないと曲がりやすいように思う。