冬菫

冬菫ちよんと突いて母を看に

 

「菫程な小さき人に生れたし」(※)夏目漱石。ある解釈には、この句の「菫程な小さき人」とは、世の中のしがらみを離れ、目立たずひっそりと、しかし、たくしましく健気に生きる人とある。この解釈に触れて、私は母のことを思いうかべた。いま母は世の中のあらゆるしがらみをわすれ、小さな人になって健気にいのちをつないでいる。それ以来、すみれには他の花にない親近感を抱くようになった。

冬のすみれは、「がんばれ」と小声で励ましたくなる存在であると同時に、こちらも元気をもらえる存在である。そんな冬菫にあいさつをして、母の許へ向かう。心なしかいつもより足取りがかるい。

 

※『合本 俳句歳時記 角川書店編 第五版』より

 

 

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冬菫」への1件のフィードバック

  1. 伊賀者 says:

    芭蕉の句に
    山路来て何やらゆかしすみれ草
    という俳句もありますね。

    義母は、可愛いからと、庭のすみれは抜かずに残していました。

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