病む母に添ひてこころは旅の秋
父が亡くなってから、姉が来てくれない日曜・祝日は買い物など短い時間の外出以外はどこにも出かけられず、一日母に添う生活だった。これが約四年半続いた。
残暑もおさまり、心地よい秋風が吹きはじめると、風が旅に誘っているようで、「母が死んだらどこか旅にでも出ようか。どこに行こうか」など考えたこともあった。
実際に母が亡くなると、そんな旅心はどこへやら、いまもまだ遠出をする気持ちにはならないが、それでもちょこちょこと日帰り旅行ぐらいには出かけられるようになってきた。
たぶんいずれは遠いところへも旅するようになるのだろう。そして、そうなった時には、在りし日の母との日々を思い出すことが、私にとっての旅となるのかもしれない。
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