わが手抜き母の汗疹となりにけり
母の生前、週一回訪問入浴と訪問看護に、週二回ヘルパ―さんに来てもらっていた。入浴の日はもちろんだが、訪問看護師さんやヘルパーさんが来てくれる日も清拭をしてくれるので、母の肌は九十歳を過ぎた老人とは思えないくらい潤っていた。ただ、冬場の乾燥はそれで防げたが、夏場は乾燥しないかわりに湿疹などできやすく、これは週三日の手当では防げないこともあるので、私もできる限り母の身体を拭くようにしていた。そのときに、母の身体に湿疹やあざがないかなどしっかり見ているつもりでも、気づいていなかった汗疹やあざを訪問看護師さんやヘルパーさんから指摘されることも少なからずあった。
生きている身体は日々変化する。母の身体に表れた汗疹は、母が生きている証でもあり、母を介護する私の手抜きの証でもあった。
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