五グラムでも十グラムでもと食細き老母の口に差し出す小匙
9月は母にとって鬼門であった。87歳・88歳の9月に徐脈で2年続けて入院し、その翌年90歳になった年は8月から9月にかけて骨折で入院した。
だが、その後2年間無事9月を乗り越えてきたので、食が細いことは心配ではあったが、体温や血圧・脈に異常がなかったので、あまり深刻には考えていなかった。しかし、いま思うと、もう身体が食事を受け付けないくらい弱ってきていたのかも知れない。
「ああ、今年も無事9月を乗り越えられそうだ」と思った、9月29日から母は体調を崩し、翌日の9月30日になくなってしまった。やはり母にとって9月は鬼門であった。もうすぐ母の一周忌だ。
※ この作品は第26回NHK全国短歌大会入選作品集に掲載されています
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いつもブログを読むと、自分の母のことを思い出します。
施設に入った母を尋ねると、
嬉しそうにしてくれるのは良いのですが、
家に帰りたがるので、
それが辛くて、足が遠のいてしまうこともありました。
ある時を境に、
反応がとても薄くなって、
表情も言葉もほとんどリアクションがなくなり、
その後、なくなりました。
今となっては、単純に寂しい、
もう会えないけど、また会いたい、
ただ、それだけです
いつもコメントありがとうございます。
最近、こんなことを聞きました。亡くなった人のことを思い出すと、あの世でその人の周りに花びらが降るのだそうです。
十郎さんが、そうして亡きお母様のことを思い出されると、お母様の周囲にはたくさんの花びらが降っていると思います。
私もまた、生前は充分なことをしてやれなかった父や母に花びらを降らせたいと考えています。