姉憎し母の介護をするわれを助けてやると言はんばかりの
一人っ子は別として、親の介護は兄弟姉妹全員の問題であるはずだ。だが、現実は誰か一人が主たる介護者となって、他の者は協力者となる場合が多いのではなかろうか。いや、協力者ならまだいいが、金は出さずに口だけ出す有り難迷惑な助言者の場合や、口は出さないかわりにまったく手を貸そうとしない傍観者の場合だってあるだろう。
わが家の場合、姉は協力者というよりも共同介護者というべき存在で、考えようによっては私よりも姉の負担のほうが大きかったかもしれない。それでも時に姉のことばの端々に「手を貸してやっている」というようなニュアンスが感じられることがあって、それがなんとも憎らしかった。介護というものは、きれいごとだけでは語れぬものと思う。
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